管理薬剤師と薬局長(店長)ってどう違うの?
今さら先輩に役職についての質問はしにくいな
正直な話、薬局はその店舗独自のルールや取り決め事も多く、実際の業務内容は店舗の規模や周りの環境によって様々です。
ですが基本となる役職の考え方、法律上の業務内容を理解しておくと、今の仕事の疑問も減り働きやすくなるでしょう。
さらには、業務負担も少なく、年収もアップする管理薬剤師、薬局長(店長)の好条件な求人を探すことができるようになります。
そこで今回は、大手、中規模、個人の全ての規模の薬局で働いた経験のある現役薬剤師のナカエが、管理薬剤師と薬局長(店長)の違いとそれぞれの会社での認識の違いについて解説していきます。
現役薬剤師が解説!管理薬剤師と薬局長(店長)の違いとは?
薬機法で定められたリーダーが管理薬剤師。会社が独自に定めた役職は薬局長や店長と呼びます。
管理薬剤師は法律上のリーダーで、適切な薬局運営を目的に他の従業員への指示・監督を行います。さまざまな書類にハンコを押す必要があります。その店舗での法的な責任を負う薬剤師になります。
薬局長(店長)は会社の決めたリーダーで、病院側と交渉したり、シフト管理をはじめとする従業員のマネージメントを主に行います。常に会社の利益を考えて動く必要があります。
管理薬剤師と薬局長(店長)は兼任の場合がほとんどですが、店舗の規模の大きい場合は分かれている場合があります。管理薬剤とは別に薬局長(店長)がいる場合の上下関係は、薬局長が上で管理薬剤師が下のケースが多いです。(法律より会社の利益を優先してしまう営利目的の薬局が多いのがわかりますね。)
管理薬剤師と薬局長(店長)を分ける理由としては、
- リーダー1人では店舗を管理しきれないほど大きい規模の薬局
- 役職を与える機会を増やすことで社員のモチベーションを維持する
といったことが考えられます。
管理薬剤師が全うする4つの責務
薬局やドラックストアなどの管理薬剤師の業務は厚生労働省によって省令で定められていいます。大きく分けて4つの責務があります。
1.モノ(医薬品)とヒト(従業員)の管理
いわゆる「管理業務」ですね。ここは一番、イメージしやすいのではないでしょうか。
モノ(医薬品)の管理
管理薬剤師は、取り扱っている薬品に関する不備や品質のチェックを行い、適正に保管しなくてはなりません。
そのほか、医薬品の回収や、麻薬・覚せい剤原料、向精神薬、指定薬物など、届け出が必要な物質の届け出・保管を行います。これらが適正に管理できるように、施設の不備や陳列の改善も行います。
- 店舗内の医薬品、その他の物品等(医薬部外品、化粧品等)を適正に管理
- 医薬品と他の物品等(医薬部外品、化粧品等)を区別して貯蔵、陳列
- 医薬品等が不良品とならないように、遮光、冷所等、適正な保管
- 不良品、不正表示品(例;有効期限切れ、表示不備品等)を発見し、処分
ヒト(従業員)の管理
現場の薬剤師等の従業員の管理です。管理薬剤師は、現場のリーダーとして、他の薬剤師やスタッフの接客態度、法令遵守や情報提供の状況などについて、常に監督・指導しなくてはなりません。
- 管理薬剤師以外の薬剤師、薬剤師以外の従業員が、適切に業務を行っているかどうか
(例;接客、法令遵守、情報提供の適否)の監督 - 薬学の専門的な知識が必要な事例等、従業員等ができない場合への対応
2.適正な使用のための情報提供業務
医薬品が適切に使用できるよう、医薬品に関する情報を把握し、使用者に提供することも管理薬剤師に課せられた業務の一つです。医薬品に関するカウンセリングや、副作用が出た場合の対処など、使用者へのアフターケア業務を行います。管理薬剤師自らが行うか又は他の薬剤師に行わせます。
- 購入者の顔色等を見ながら、購入者の求めている医薬品が、不適当ではないかどうか判断
- 医薬品を適正に使用するための服薬指導、情報提供を実施
- 医薬品の購入者ごとに提供すべき情報の範囲を判断
- 医薬品の購入者から、医薬品副作用の苦情や相談を受付
- 一般用医薬品で対応できないと判断した場合、医療機関への受診を勧める
- コミュニケーションを通じ、副作用相談など、購入者のアフターケアを実施
3.その他副作用情報の収集・報告
- 保健所の立ち入り検査に対応
- 個別指導や集団指導があれば出席
- 必要な情報が常に入手、活用、提供できる体制を整備
- 緊急安全性情報等、医薬品の有効性・安全性情報を収集
- 厚生労働省への副作用情報の報告
4.薬局開設者(オーナー等)への意見申述の義務
2021年(令和3年)8月1日の改正薬機法施行により、管理薬剤師に新たに”意見申述”の義務が課せられています。管理薬剤師自身が保健衛生上の問題点に気付き、改善のための措置などの意見がある場合は、現場責任者として薬局開設者(オーナー等)に書面により報告しなくてはなりません。
- 設備の不備等、問題があった場合、開設者に改善するよう意見具申
管理薬剤師になるメリットとデメリットは?
管理薬剤師になるメリット
メリット①:キャリアアップに有利
管理薬剤師になれば、医薬品に関する幅広い知識や正しい商品管理の方法、薬局の経営や法律に関する知識などが自然と身につくので、一般の薬剤師として勤務していた時とは違った視点を持てるようになります。管理薬剤師という責任ある職務を行っていくことは、薬剤師としての大きな自信とキャリアアップにつながるでしょう。
転職にも有利な経験を積むことができる 管理薬剤師は、医薬品取り扱い業務以外にも、施設の責任者として経営マネジメントや人材の育成に関わる機会も多くなります。このような経験は、将来転職したいと考えるようになったときに大いに役立ちます。なぜなら、マネジメントを経験した管理薬剤師は貴重な人材なので、薬局以外の幅広い産業からの需要が見込めるからです。転職時の職場の選択肢も広がり、より有利な条件で転職ができる可能性があります。
メリット②:年収がアップする
厚生労働省の調査報告によると薬局の一般薬剤師の平均年収472万円に対し、管理薬剤師の平均年収は720万円でした。管理薬剤師になると、多くの場合役職手当が支給されるので、年収アップが見込めます。ただし手当の名称や額は職場によって異なるので、管理薬剤師になった場合にどれ位の収入アップが見込めるか、事前にリサーチしておきましょう。
メリット③:仕事へのやりがいをより感じることができる
自分自身の知識やスキルを最大限に発揮し、管理薬剤師という責任ある立場で働くことで、これまでよりも自信とやりがいを感じることができるようになります。他の薬剤師や経営者から助言を求められるような機会も多いので、現場のリーダーとして充実したワークライフになるでしょう。
管理薬剤師になるデメリット
デメリット①:仕事の負担と責任が重くなる
管理薬剤師になると、どうしても仕事の負担と責任が重くなってしまいます。薬剤師の指導や教育、医薬品の在庫管理や各種届出など、管理薬剤師にしかできない業務を行いながら、現場の調剤対応をしているという方もいます。
また、管理薬剤師は、シフト管理に関わることも多いため、薬剤師が不足している場合や、出勤できる薬剤師が少ない土日など、シフト管理者として不足分のカバーに入らなくてはならなくなることもあり、想定外に出勤が増える場合があります。
デメリット②:4つの責務が発生する
管理薬剤師には先述した、モノ(医薬品)とヒト(従業員)の管理、適正な医薬品使用のための情報提供業務、副作用情報の収集・報告、薬局開設者(オーナー等)への意見申述の義務の4つの責務が発生します。
デメリット③:薬剤師としての副業ができなくなる
薬機法の定めにより、管理薬剤師はひとつの施設のみに従事しなくてはならず、薬剤師としての副業や兼業は原則的に認められていません。一般の薬剤師の場合は、2つの薬局をかけもちして派遣やパートで稼ぐことができますが、管理薬剤師になると、薬剤師資格を使ったかけもち勤務はできなくなります。
とはいえ管理薬剤師でもできる副業があるので早めに始めておくといいでしょう。
その他にも、薬剤師会に認められた夜間休日診療所の薬局でのアルバイトや、ワクチンなど注射薬の調製のアルバイト等の例外は多くあります。
管理薬剤師になるには?
以前は、管理薬剤師になるために特別な資格が求められることはないです。
ただし令和元年の薬機法改正「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等(薬機法)の一部を改正する法律」で、管理薬剤師になるには相応の能力や経験が求められるようになりました。この改正薬機法は、令和3年(2021年)8月1日から施行されています。
管理薬剤師の具体的な要件として、薬局で5年以上の実務経験があり、研修認定薬剤師の資格があることが推奨されています。
ただし現段階ではあくまで「推奨」であり、法律によって定められた義務ではないです。
私自身、調剤実務の経験が4年でも、管理薬剤師として問題なく転職できました。
また、管理薬剤師には、働き方にも一定の条件があります。「薬局等を実地に管理しなければならない」という定めがあるため、薬局や店舗など、ひとつの施設で一定時間以上勤務することが求められます。
特に地域支援体制加算をとっている薬局では、地域体制支援加算の算定条件の中で管理薬剤師に関して
- 薬剤師として5年以上の勤務経験
- 週32時間以上の労働
- その薬局で1年以上勤務経験
があることを条件としています。
そのため管理薬剤師に求められる勤務時間について明確に定めている法律はありませんが、実際に転職をするなら1週間に32時間以上の勤務が求められます。
管理薬剤師は原則的に兼業や副業は認められていないので、ひとつの施設に限り勤務しなくてはなりません。
目指す方法①:現職場での内部昇進
管理薬剤師としてのキャリアアップを目指したいなら、施設の経営者や上司などに「管理薬剤師をやりたい」という明確な意思表示をしておくことが成功のカギになります。
管理薬剤師を目指す方法その1は、現在勤めている職場で薬剤師としての経験を重ね、内部昇進とともに管理薬剤師のポストに就く方法です。管理薬剤師になることを前提に、認定薬剤師取得のためのさまざまなサポートや研修を受けられる制度を設けているところもあるので、上手く活用しましょう。
目指す方法②:転職の際に管理薬剤師の求人を選ぶ
管理薬剤師を目指す方法その2は、転職によっていきなり管理薬剤師にステップアップする方法です。管理薬剤師になるための2つの要件をすでに満たしているなら今すぐにでもチャレンジすることができます。
現在勤めている職場に先輩の薬剤師が多かったり、家族経営のため昇進が難しかったりする場合に、転職を利用して管理薬剤師のポストを狙います。実際に薬剤師関連の求人を探してみると、管理薬剤師の中途採用もまだ多く存在しています。条件の合う職場が見つかれば、管理薬剤師として思い切って転職するのも良いでしょう。
まとめ:管理薬剤師と薬局長(店長)の違い
管理薬剤師とは?
- 法律上のリーダーで、適切な薬局運営を目的に他の従業員への指示・監督を行います。さまざまな書類にハンコを押す必要があります。その店舗の法的な責任者です。
薬局長(店長)とは?
- 会社の決めたリーダーで、病院側と交渉したり、シフト管理をはじめとするスタッフのマネージメントを主に行います。会社の利益を考えて動く必要があります。
薬局はその店舗独自のルールや取り決め事も多く、実際の業務内容は店舗の規模や周りの環境によって様々です。
ですが「薬剤師」の職場環境はあなたが思っている以上に転職先には困らないので恵まれた職種です。
まずは業務負担も少なく年収もアップする管理薬剤師、薬局長(店長)の求人を探してみて、キャリアを積んでいくのがおすすめです。
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